8月は男女ともオールスター(GⅠ)が行われた。男子は脇本雄太(福井)の番手を回った寺崎浩平(福井)が抜け出して1着。GⅠ初制覇を飾った。3番手を回った古性優作(大阪)が2着に入り「近畿勢強し」を印象づけた。脇本は今年の全日本選抜、高松宮記念杯を制しており、古性は現在賞金ランク2位。近畿勢3人が年末のグランプリ出走をほぼ決定的にしており、近畿勢の充実ぶりを明確にした。
女子は佐藤水菜(神奈川)が前評判通りの強さを披露した。危なげないレース運びで3連勝。完全Vで4月のオールガールズクラシック、6月のパールCに続いてGⅠ3連覇を達成した。印象に残ったのはファンの前で見せた涙。優勝直後の記者インタビューでは気丈に答えていたが、ファンを前にした途端に気張っていた緊張感がほどけたのか、あふれ出た熱いものが頰を伝っていた。「勝って当たり前」と思われる緊張感がどれほどのものか、記者には想像もつかないが、やり遂げた時のホッとした感情は少なからず分かる気がする。
佐藤はその後、休む間もなく全日本自転車競技選手権(22~25日、静岡・ベロドローム)に出場。チームスプリント、スプリント、ケイリンで3冠を達成した。チームスプリントのチームメート仲沢春香(福井)に対して、女子オールスターの準決勝で対戦した後に言った言葉も忘れられない。「仲沢は抜け出した瞬間流す癖がある。そこが弱点。そんなに甘くないぞということを知ってほしかった」。一見厳しく聞こえるかもしれないが、チームメートだからこその〓咤(しった)だと思う。これから世界選手権や五輪で一緒に戦っていく仲間だからこそ、あえてあの場で言ったのだろう。
今後は10月の世界選手権(チリ)に出場予定。国内無敵の佐藤が世界を相手に奮闘する姿に注目したい。
◇鈴木 智憲(すずき・とものり)1967年生まれ、愛知県出身の57歳。92年スポニチ入社。97年から2年間競輪記者を経験。当時は神山雄一郎、吉岡稔真が東西の横綱として君臨していた。24年4月、26年ぶりに現場復帰。